近年、スポーツにおけるデータ分析の活用は大きく進展しています。横浜DeNAベイスターズにおいても、徹底したデータ活用によりチーム強化に貢献してきました。
・参考: 横浜DeNAベイスターズ躍進の要因は徹底したデータ活用だった
試合結果の詳細データ、トラックマン(高性能弾道測定器)などのセンサーデータ、試合映像データなど、データの種類と量が急激に増大していく中、データ分析は年々複雑化しています。今までの仮設検証に基づくデータ分析から、機械学習による予測モデルや高度な映像解析等のAI技術を活用したデータドリブンの施策の重要性が高まりつつあります。
試合映像データの解析では、ピッチングフォーム、バッティングフォーム、守備、走塁など様々な解析対象があります。近年、姿勢推定技術の活用が注目されていますが、そのままでは実用に耐える精度を得ることはできません。コンピュータビジョンのAI研究開発エンジニアが、個別の映像解析要件に対応した映像解析の研究開発に取り組んでいます。

また、解析された映像データやトラックマンデータ等の膨大な入力データと、選手の成績、調子、疲労(怪我の可能性)との関係性をデータサイエンティストが分析して機械学習モデルを構築しています。限られた試合結果のなかで大量の変数に対応した予測モデルを構築した上で、妥当性を検証・説明することは非常に難易度の高い課題になります。
これらのAI活用を進めていく上で一番大事なことは、現場の課題を解決するアウトプットを生み出すことです。横浜DeNAベイスターズでは、チーム強化に役立つデータ分析を推進するアナリストの専門部隊がいて、日々分析業務を回しています。DeNAのAIシステム部では、横浜DeNAベイスターズのアナリストと共に、データ分析課題の設計から、実際の分析、そして報告・検証までを密連携で進めて、何度も繰り返しPDCAサイクルを回すことで、実用的なアウトプットにつなげています。
DeNAでは、横浜DeNAベイスターズ以外にも、横浜DeNAランニングクラブ、川崎ブレイブサンダース等多くのスポーツ事業を展開しています。また、将来はeスポーツ事業への取り組みも前向きに検討しています。AIシステムでは、強いスポーツチームを下支えするためのAI技術を開発し、実運用ノウハウを蓄勢・展開していくことで、DeNAのスポーツ事業全体を大きく活性化できればと考えています。
