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KATSUNORI ONISHI AI研究開発エンジニア
SHUSUKE KABEYA YDB 戦略部長
KAZUO FUJITA YDB 一軍ブルペン担当バッテリーコーチ

横浜DeNAベイスターズは、日本のJERAセントラル・リーグに所属するプロ野球球団です。
神奈川県を保護地域とし、同県横浜市中区にある横浜スタジアムを本拠地としています。

2018年の1月から協業を始めたDeNAのAI開発の直近の取り組みについて、横浜DeNAベイスターズチーム統括本部チーム戦略部長の壁谷周介、ブルペン担当バッテリーコーチ藤田和男、DeNAシステム本部データ統括部AI研究開発部の大西克典の3名に、プロジェクトの進行や現場での反応を聞いてみました。

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始まりは唐突に。0→1で一緒に作り上げていく

壁谷周介(以下、壁谷)
大西さんと一緒にプロジェクトを進め、2018年の1月から始まり3年以上経ちます。
当時、私たちR&Dグループ(※1)の人数は少なく、データサイエンスやAI分野に長けた人は一人もいませんでした。

そんな頃、AIの専門性を持つ大西さんがチームに入ることになりました。
AIの技術力が高く、ベイスターズについて大変興味を持っている人が入社するという情報を知り、一緒に何かやったら面白いことができるのではないかと思ったのを覚えています。
南場さん、岡村さん(当時、横浜DeNAベイスターズ代表取締役社長)からお話を受け、そこから約3カ月後からプロジェクトが本格的にスタートしました。

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大西克典(以下、大西)
急にチームの一員となり、緊張しっぱなしで当時のことはあまり覚えていません(笑)。
これが野球の現場なのかと、ワクワクと不安の気持ちで一杯でした。

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壁谷
大西さんはベイスターズに対して「何ができるか」という根本的な話から、「私たちだけではできないこと」、「こういうことをやりたい」という要望に対し、一緒にさまざまな提案を考え、実現してくださいました。
そういった普段の様子から、とても優秀な人材がR&Dグループに来てくれたという印象を受けました。

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大西
バックグラウンドが大きく異なる僕がアサインされた当時、AIについての抵抗感みたいなものはなかったですか。

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壁谷
バックグラウンドが異なるという観点で言えば、現R&Dグループのリーダーは元銀行員です。
日本銀行金融研究所に出向していた経験もあり、大学で学んだ金融工学や統計学の知識を持っていて、経営者の近くでリスク管理・予測を行っていた人です。

他にも、スタンフォードで統計学を勉強し、大学時代から野球を題材にした統計学の分析を行っていた人もいます。
データサイエンティストではないですが、動作のところに携われるバイオメカニクスのジャンルの人材で、筑波大学出身の2名も在籍しています。
筑波大学出身の2名のうち1人は、大学や社会人の野球部でバイオメカニクスの研究や選手へのコーチングを行っていた即戦力です。
このように、さまざまなバックボーンを持った人がチームに関わっています。

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藤田和男(以下、藤田)
AIについての抵抗感はぜんぜんなかったですし、もっとAI感を出して欲しかったくらい(笑)。
AIを活用する人については、「頭の良い人たちの集まり」という第一印象を持っていました。
私自身、AIについて興味があり、AIを活用した投球予測などをテレビで見ていたので、こういったことができるのかなと考えていました。

選手が投球やバッティングなどで迷う時の感覚は大事にしつつも、根拠も重要です。
その根拠の深掘りや、選手を良い方向へ向かわせるためには、AIの活用、大西さんのような人材は必要不可欠だなと感じました。

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壁谷
週に一度ある定例ミーティングで出た意見に対し「これはできます」「これは難しいです」と言った判断が早いため、ミーティング中、かなり盛り上がりながら意見交換ができ、「できなかったこと」が「できる」ようになっていきました。

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※1:横浜DeNAベイスターズチーム統括本部チーム戦略部R&Dグループ
(データ分析、および最新テクノロジーを駆使しチーム戦略の企画、実行を担う部署)

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分析で終わらせず、プロダクトのアウトプットへ

大西
案件を協業し、3年以上がたった昨年の12月頃、壁谷さんから「バッテリーコーチ向けにR&Dチームで取り組んでいる情報を元に分析結果を出し、AIを活用したプロダクトを作ってほしい」という相談を受けました。

元々の計画にはないものでしたが、リクエストを受けてプロダクトのプロトタイプ版を2ヶ月程で作成し、藤田コーチに確認してもらったところ「キャンプ前にこういうものがあるとすごくいい」という好評価をいただきました。

その後、新型コロナウイルスの影響から開幕が遅れたのを逆手に取り、フィードバックを元にプロトタイプを短期間でシステム化。
コーチに活用してもらい、選手たちの開幕までの自主練にも実際に活用していただきました。

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壁谷
2020年春季キャンプ中に、アリゾナダイヤモンドバックス(※2)のコーチが来てくださり、彼らと議論した際に自分と藤田コーチが触発された内容を、大西さんに相談。優先度を上げてやってくれないかとお願いしましたね。

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藤田
アリゾナダイヤモンドバックスの方に、メジャーで使われている技術に関するさまざまな資料を見せていただだき、その上で要望をまとめ、ラミレス監督(当時)、壁谷さん、技術の面で大西さんに協力依頼をしました。

大西さんのAIを活用した技術力と、現場での私の行動を組み合わせた練習を続けた結果、選手一人ひとりの意識や行動が目に見える形で変わっていったんです。

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壁谷
特段、選手に「ここをすごく大事にしよう」とか「ここを評価する」ということは一切話していなかったのですが、大西さんが過去の選手たちの分析だけでなく、プロダクトとしてアウトプットしてくださったこと、そのプロダクトを活用した現場での藤田コーチの活動から、選手たちにも思いが伝わったと感じました。

その結果、藤田コーチが啓発活動を熱心にしてくださったおかげもあり、選手の意識が大きく変わっていったと思います。

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※2:2019年から戦略的パートナーシップを締結しているメジャーリーグベースボールナショナルリーグ球団

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意見交換から、プロダクトへの反映に

壁谷
その後、プロダクトを現場で活用してもらうためには、選手たちの納得感を得た上で活用した方がいいと考え、選手たちにも説明ができるような理論的な裏付けが欲しいと大西さんに伝えました。

事前に共有していた英語の文献や記事を元に独自に調べ上げ、理論的な裏付けをしていただいたきました。ミーティングの時、その場で思い浮かんだ「こういうのができたらいいね」という私の突発的なアイデアも拾ってくれるのでとても助かります。

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藤田
私たちの要望に対し、他球団のことや選手のフォームのことなど、かなり深いところから調べていただいた上でプロダクトの改善を図ってくれるんですよね。改善されたプロダクトを見ると、「僕らより野球のことを知っているな」と。

映像と数値の活用が結果につながると、選手たちのモチベーション向上にもつながります。
大西さんにお願いしたらできないことがないと思うぐらい、信頼を寄せています。

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壁谷
本当に(笑)。

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大西
チームの育成や勝利に貢献することを目的とし、藤田コーチがプロダクトを毎日活用してくださるなど、現場できちんと使ってくださるので、価値のあるモノをしっかりと提供できていると実感できます。
また、壁谷さんを含めた意見交換からの現場への理解や、プロダクトの改善は、良い流れにつなげられたと感じました。

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壁谷
現場から見ていても、DeNAのAI開発との協力関係から選手たちへのアプローチや成功事例ができてきていると感じています。
今後も、選手、監督、コーチと連携しながら、勝利に貢献できるプロダクトを作っていけたらと考えています。


AIの技術の活用、部署内外での連携の強み、選手たちにとっての勝利への活路のため今日もプロダクト制作が進められています。

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