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抱えていた課題

ダムの流入水量の解析には、ノイズの多いレーダ雨量だけでなく、局地的な地上雨量の実績を用いた補正が必要。
30分単位でしか求まらず、速報性に欠ける。

実現した結果

レーダ雨量を直接補正することで、地上雨量の実績なしに降雨量データを5分単位で求める技術を確立。


国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)より委託された、国の「IoTを活用した新産業モデル創出基盤整備事業」のプロジェクトのひとつとして、多目的ダム(※1)における利水運用の効率化のための研究に参画。日本工営株式会社、長岡技術科学大学、長岡工業高等専門学校とともに研究を行いました。

DeNAは、画像解析技術を活用し、降雨量データを広範囲かつ高頻度で推定して、元来からある降雨量算出のロジック改善に寄与しました。

元来の多目的ダムにおける降雨量の予測方法

多目的ダムでは、ダムの流入水量を予測するために、地上雨量(※2)とレーダ雨量(※3)のデータを合わせ、広範囲の正確な雨量を解析雨量(※4)として算出していました。

地上雨量には高頻度で正確な降雨量を測ることができる一方、観測範囲が狭いという難点があります。レーダ雨量には、範囲が広く遠方まで観測可能である一方、ノイズが多く、局地的・速報的な降雨量を測るのには不向きという難点があります。このため、両者を合わせてレーダ雨量を補正する必要がありました。

しかし解析雨量は、30分おきに過去1時間の雨量から算出されるため、速報性に欠け、ダム流入水量に誤差がでることがありました。

広範囲かつ正確なレーダ雨量の補正を実現

本研究では、解析雨量を補正の目標値と見立て、レーダ雨量を画像解析技術で補正することで、広範囲かつ正確な降雨量データを従来の30分単位ではなく、5分単位で求めることを実現しました。

元のレーダ雨量データに比べ、本モデルが出力した補正結果の方が解析雨量データに近く、補正がうまくいっていることが確認できました。この結果の応用として、ダム流入水量をより正確に予測し、増電効果などのダム運用の効率化が期待されます。


画像解析技術を活用した予測方法

今回の補正モデルには深層学習モデルの一つであるCNN(Convolutional Neural Network)を用いました。直近の複数時点のレーダ雨量をインプットデータ、解析雨量を教師データとしモデルを学習。より正確な降雨量データを推定しました。

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※1 多目的ダム: 流水量を調整する治水、農業利用や発電に活用する利水など、複数の機能を兼備したダム
※2 地上雨量: アメダスなど地上に設置した観測機器を用い、ある地点において行われる降水観測の測定値
※3 レーダ雨量: アンテナを回転させながら電波を発射する気象レーダを用いて観測した広範囲の雨量
※4 解析雨量: 地上雨量とレーダ雨量を組み合わせて、降水量分布を解析したデータ

project member

KENICHI MATSUI Mobility Technologies 出向中 マネージャー Kaggle Master
GIMPEI KOBAYASHI データサイエンティスト Kaggle Expert
KENTARO NAGATA プロジェクトマネージャー

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