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YOSHIHISA WATANABE プロデューサー
KAORI SATO クリエイティブディレクター

「ダイバーシティ&インクルージョン」というテーマを掲げ、長年にわたり、社員一人ひとりのあらゆる違いを尊重し、それらを強みとして掛け合わせることで新しい価値の創出につなげてきた大日本印刷(以下、DNP)。

2021年2月には「ダイバーシティウィーク」という社内向けのイベントを開催し、そのプログラムの一つとして、DeNAがAIを活用して開発した「fontgraphy(フォントグラフィー)」というサービスを導入しました。

なぜfontgraphyを導入することになったのか?そしてどんな成果を得られたのか?
大日本印刷株式会社ダイバーシティ推進室室長の根本和子さんとDeNAデザイン本部マーケティングデザイン部の渡辺義久、デザインを担当した佐藤香織に話を聞きました。(以下、敬称略)

works fontgrapny 01

ダイバーシティの新たなフェーズを迎えて、感じていた課題

渡辺 義久(以下、渡辺)
DNPさんでは、いつ頃からダイバーシティへの取り組みを開始されたのでしょうか。

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根本 和子(以下、根本)
2000年の初め頃からですね。もう20年近く取り組んでいます。
最初は女性の雇用に関わるところからスタートし、定着、両立、活躍といった形で徐々にフェーズが変わっていきました。

ただ、どうしても女性の活躍ばかりがクローズアップされている印象に課題を感じていました。
そこで、2018年にダイバーシティ推進室を設置し、対象を広げ、LGBTQ+への理解や障がいを持つ社員などへの取り組みも進めてきました。

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佐藤 香織(以下、佐藤)
次のフェーズへ進まれたということですね。

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根本
ダイバーシティは女性の活躍に関することだけではなく、社員一人ひとりが当事者であり、全員がダイバーシティを構成している一員であるということを伝えたいと考えています。

世の中には一人として同じ人間はいないわけで、その違いをわかりやすく可視化することができれば、より実感していただけるのではないか。
一人ひとりに関係するという理解に繋がるのではないだろうか。
そう考えて、2021年にダイバーシティウィークという社内向けのイベントを企画しました。

story 05 fontgraphy detail 01

fontgraphyとの出会い

渡辺
そんなときに、DeNAのfontgraphyに興味をお持ちいただいたんですよね。

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根本
はい。企画するにあたり、私の高校生になる娘が「こんなのがあるのよ、やってみて!」とスマホを見せてくれたのを思い出したのです。
SNSで見つけて、友達の間でも情報共有していたようで。それが、fontgraphyとの出会いでした。

実際にやってみると、短時間で自分の声がビジュアル化される。
私の声ってこんなイメージなのかと非常に面白く感じましたし、是非みんなにも試してもらいたいと思いました。
そこで、ダイバーシティウィークの企画に取り入れられないかとDeNAさんにメールをお送りしたのが最初です。

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渡辺
根本さんからお問い合わせいただいたときは、ものすごく嬉しかったのを覚えています。

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根本
私たちもすぐにお返事をいただけて嬉しかったです。

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渡辺
fontgraphyは元々、2019年にDeNAの創業20周年を記念してリリースしました。
「主役になろう」というスローガンを掲げて、社内にいる多様な人材それぞれの強みを生かし、世の中に喜びと驚きを届けようという取り組みをしていたんです。
なので、その点の考え方でもDNPさんとは共通している面があるなと感じましたし、是非協力させていただきたいと思いました。

story 05 fontgraphy detail 02

限られた時間の中でも、やりたいことは全て実現する

根本
時間がほとんどない中でのスタートでしたが、実際にDeNAさんとのプロジェクトが動き出してからも、各分野の専門の方々がそれぞれの強みを最大限に発揮してくださったなと感じました。
打ち合わせでも取り組む熱量の高さを感じましたし、親身に考えていただけたなと。進行もスムーズで、とても心強かったです。

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佐藤
私たちもとてもやりやすかったなと感じています。
課題点や実現したいことをクリアにご提示いただけましたし、DeNAからの「できること・その方法」などの提案に対して、決断がスピーディな上にお返事も明確で、限られたスケジュールの中でもスムーズに進行することができた大きな要因だと思います。
このスピード感で最後まで走れるのは、なかなかないことです。

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渡辺
私も同じ感想です。
何かを決める、という作業にスピード感を持って取り組める企業さんは珍しいと思います。
その点、DNPさんはジャッジがとても早かったですね。
一緒に作業していてとても気持ちが良かったですし、期待に応えようというモチベーションにもなりました。
大企業のスピード感とは思えないほどの意思決定の速さでした。

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佐藤
短期間で何かを成し遂げるには、削ぎ落とさなければならない要素が発生することが多いのですが、このプロジェクトにはそれが全くありませんでした。
最初に挙がった「やりたいこと」は全て実現できました。

story 05 fontgraphy detail 03

fontgraphyの導入で得られた成果

根本
ダイバーシティウィークで実際にfontgraphyを使ってみた社員からは、私たちが意図していた「それぞれの違いや多様性があることを体験できた」、「家族とやってみたら、一人ひとり全然違うデザインになって、とても面白かった」という声のほか、「年賀状などで、個々人宛てに個別のメッセージがグラフィック化されたものを使用したい」といったアイデアなど、色々な声が寄せられました。

「ダイバーシティ&インクルージョン」の取り組みを進めるにあたり、ダイバーシティウィークでは社員だけでなく、その家族にまで広げた施策を行いたいと考えていたので、社員の家族にも体験してもらえたのは大きな成果と捉えています。
家族同士でも価値観に相違が出ることはありますから、fontgraphyで「声」を見える化したことで、ダイバーシティをより意識してもらえたのではないかと思いますし、意義のあるイベントにできたと思います。
fontgraphyを常設化したいくらいです(笑)。

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渡辺
ありがとうございます。そう言っていただけると私たちもすごく嬉しいです。

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根本
今回のプロジェクトが社員それぞれの顔を見ることができるような取り組みになり、多くを得ることができたように思います。

コロナ禍で人の顔が見えづらい状況なので、「どんな人が働いているのか、どんな仲間がいるのか」を感じられて、結果として社員同士の交流を促すことができましたし、お互いの強みを理解したことでダイバーシティがイノベーションに繋がるようなきっかけができた、というのは改めて大きな成果だったと感じています。

story 05 fontgraphy detail 04

AIが持つ可能性と未来に向けた取り組み

渡辺
DNPさんは今回のプロジェクト以外で、AIの活用についてどのような取り組みをされていらっしゃいますか。

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根本
社内でも独自のサービスを手がけています。メーカーでもあるので、製造部門の検査工程や文字校正などの手作業を要する部分の効率化に関わる部分にAIを導入しています。
また、それらによってできあがってきたものを外販していくことにも取り組んでいます。

DNPは、P&I(印刷技術と情報技術)の融合を会社の強みとしています。
業態、業界に関わらず幅広いお客様とお付き合いしており、それぞれの課題に合わせた多種多様な製品やサービスを提供しています。
その中で、画像処理や言語処理をはじめとする様々なデータを大量に扱っており、その領域はAIとの親和性が高いと考えています。

DNPでは、AIを活用したサービスを通して、様々な分野におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進しています。
例えば、DNP学びのプラットフォーム「リアテンダント」という教育現場に向けたサービスでもAIを活用しています。
リアテンダントとは、テストの採点や集計をデジタル化して教員の業務負荷を軽減したり、蓄積した学習データを分析し、生徒一人ひとりに応じた課題や指導内容を導き出すことができるサービスです。
従来行っていた教科書や教材の印刷から、デジタル活用による教育DXの推進へ、領域を拡げて取り組んでいます。

DNPのブランドステートメントは「未来のあたりまえをつくる」です。
未来を担う子どもたちの教育現場へ向けてもAIを活用し、新しい価値を提供したいと考えています。

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渡辺
素晴らしい取り組みですね。
我々もAIの可能性はまだまだこれから拡がっていくものと考えています。
AIを活用した新しい事業や新しい価値の創出に向けて、今後も是非ご協力させてください。

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根本
こちらこそよろしくお願いします。AI事業もですが、ダイバーシティ&インクルージョンは「企業同士の強みを掛け合わせて新しい価値を作る」ことでもあります。
今後も様々な事業を通してご一緒できればと思います。


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