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DeNAでは毎夏、AIスペシャリストを目指す学生に向けたインターンシップ制度を設けています。2〜4週間をかけ、世界トップレベルのスキルを持つAIエンジニアと共に実データを用いた事業活用に取り組みます。
募集領域は【コンピュータビジョン】【データサイエンス】【音声】【強化学習】の4つ。ご自身の専門領域でテーマ設定し、最終日に行われるプレゼンを目指して日々のタスクをこなしていただきます。
実際にどんなことが行われているか。2023年度のサマーインターンに参加した2名の学生 柳智也氏(以下、 柳氏)と孫卓凡(以下、孫氏)、そしてそれぞれのメンターを務めたAI技術開発部マーケティングコミュニティグループ所属の小林銀兵(以下、小林)、同部ビジョン&スポーツグループ所属の柳辺十武(以下、柳辺)にインタビューを実施。1日のスケジュールから業務内容、DeNAに対する率直な印象まで、赤裸々に語っていただきました。 左から柳智也氏とメンターの小林銀兵
学生のお二人がサマーインターンに参加したのは、共に修士1年の時とうかがっています。大学での研究範囲を、また、メンターお二人も担当領域も教えてください。
柳氏:
僕は機械学習と数理最適化という2つの分野を専門にしています。サマーインターンでは、データサイエンス分野を選択しました。
孫氏:
私は3次元生成モデルといって、文章から3Dモデルを生成し、さらに生成されたモデルをどう改善するのかということについて研究しています。
DeNAのサマーインターンではどのようなことに取り組んだのでしょうか。
柳氏:
大規模言語モデル(LLM)を用いてSNSの投稿文を自動生成させるタスクに取り組みました。DeNAではすでにテキスト生成AIを利用したマーケティング施策を導入していますが、それをSNSにも適用できないか、という試みです。
近年のSNS運用は、運用者のカラーを出しているアカウントをよく見かけますが、そのアカウントのキャラクターをAIに学習させることでSNSへの投稿支援ができないだろうか、という施策です。また、プロダクト運営のプランニングなどを崩さずに適切な文章を生成させるための改善作業にも取り組みました。
小林:
私は今「SNSの投稿文をLLMで効率化する」という課題に取り組んでいるところで、その分野でサマーインターン生向けの課題を切り出せないか、という相談を上長から受けました。
データサイエンスではデータを数値的に評価できることがとても重要なのですが、その評価項目のセットを作成し、これに興味を持ってくれる学生がいることを期待していたところ柳さんが参加してくださり、自分がメンターになりました。
柳氏:
自然言語処理についてはKaggleなどで取り組んだことがある分野だったので、とてもなじみのあるテーマでした。
孫さんはどのような課題に取り組みましたか?
孫卓凡とメンターの柳辺十武
孫氏:
私はDeNAのバスケットボール事業にAIを導入するための技術検証に取り組みました。
NBAではすでにマルチカメラシステムが導入されていて、試合の映像から様々なデータの抽出と分析が行われています。しかし、日本で同じことをするには導入費用がかなりの高額になってしまうことから導入スピードは早くありません。
そこで今回、マルチカメラシステムと同等、もしくは近いデータを、AIを使って放送映像だけから抽出することがどのくらいのレベルでできるのか、という検証を行いました。この課題はインターンの初日にメンターの柳辺さんにご提案いただきました。自ら選んだテーマではありませんが、自分の興味とマッチしたので、かなりモチベーション高く取り組めました。
柳辺:
自分の主な業務はDeNAが運営するバスケットボールチームをはじめとしたスポーツチームの分析と、あとゲーム事業部でAIモデルの開発もしています。
そういった背景があり、AI技術を使った高度な分析モデルの開発について常日頃から仲間内でしていたんです。どこまでできるのかの検証ニーズがあり、サマーインターンのタイミングでインターン生にお願いしてみてはどうか、との話が出ました。孫さんの技術がマッチしていたので、チャレンジしていただくことになりました。
サマーインターン期間の過ごし方
では、サマーインターン中はどのように過ごしていたのか、大まかな1日のスケジュールを教えてください。
孫氏:
始業は10時半でした。毎日の終業前に柳辺さんに1on1をしていただいていたので、まずは前日の1on1の振り返りをしつつ、今日はどんなタスクにメインで取り組むべきかを確認、その後作業に入ります。
わからないことがあればその都度、柳辺さんにSlackで連絡したり、Zoomを繋げていただいたり、随時質問できる体制を取っていただきました。大体19時には終業していたと思います。
終業後は切り替えてプライベートタイムをとることができました。夏休み中ということもありましたが、大学で研究している時より日々の時間に余裕を持つことができた気がしますね。
メンター以外とのコミュニケーションはとれましたか?
孫氏:
リモートで業務に就いていましたが、ランチは他の社員の方々とZoomで会話しながらとりました。業務内容などの他に、DeNAでの働き方を聞いたり、また「こんな事業に興味があります」と伝えると、その事業部の方を呼んでくださったりしました。
日替わりで2名とお話しさせていただいたので、部署を超え、かなりたくさんの方とコミュニケーションを取ることができ、このランチでの会話を通して、DeNAに対する解像度がかなり上がりました。
中でも印象に残っている会話などはありますか?
孫氏:
研究とビジネスの違いをよくわかってなかった頃、AIスペシャリストの方とした会話がとても印象深かったです。大学の研究ではどうしても課題解決だけに寄ってしまいがちなのですが、事業を推進するために必要なことや、ビジネス視点で課題を見つけることの重要性をお話しいただきました。
事業は研究よりも自由度が高い分、自ら考えて積極的に動くことが大事であるのを感じました。
柳さんはどんな過ごし方をされましたか?
柳氏:
僕の場合は朝に1on1がありました。就業始めで前日の作業の進捗状況と当日の作業予定、テキストで伝えるのが難しい相談事項などを伝えていました。1on1は大体30分ぐらいで、その後作業に入ります。
夕方の4〜5時くらいまで実装をしたり実験したりして、残り2時間くらいは翌朝の1on1で伝える進捗状況や作業内容を確認しつつ相談ごとをまとめたといった感じです。
孫さんと同じく、オンラインランチで様々な社員の方々とコミュニケーションをとらせていただきました。私は自身がKaggleに取り組んでいることもあり、Kagglerの方とお話しさせていただく機会が多かったです。
お話してみていかがでしたか?
柳氏:
DeNA にはKaggleコンペでよくお名前を拝見しているデータサイエンティストがたくさん在籍していたので、技術的専門性のある方々がどんな働き方をしているのか気になっていたんです。それぞれの得意領域や興味をお持ちの分野、技術で解決できる課題がどこにあるのか、それを最先端の技術と組み合わせてどう解決していくのかなど、たくさんのお話を伺いました。
実は、業務へのイメージがあまり湧かないままインターンに参加してたんですが、インターン期間でビジネスにおける機械学習の活用法が明確になりましたし、研究とビジネスの考え方の違いも理解することができました。
「ビジネス視点で考える」学びを得た
お二人共にインターン業務から研究とビジネスの違いが明確になったというお話しが出ましたが、そこから得た学びなどがあればお聞かせください。
柳氏:
Kaggleに取り組んでいると切り離せないのが評価指標についてなのですが、今まではそれが0.1上がっただけでも嬉しい、みたいな感覚でした。一方、ビジネスでは数値で評価できるものもあれば、例えば「こういう機能があった方がいいよね」というユーザー視点の評価方法もあるんですね。
実データを機械学習やAI技術をビジネスに活かしていくためには、精度や数字だけでは測ることができない指標があることを理解できましたし、どんな観点が必要なのかを議論できる環境に身を置けたのは素晴らしい経験だったと感じています。
他にも、業務に使用することを意識してものを改善していくことに今までにない新鮮さを感じました。改善が必要なポイントを見つけ、どう解決していくかを考えて取り組むのは初めての経験でした。
孫さんはいかがですか?
孫氏:
ビジネスとしてタスクをこなす際、優先度をつけることが身についたと思います。
研究現場では、タスクを最初から順に解決していくスタイルが主です。でもビジネスシーンでは締め切りがあり、決められた日までに業務をこなさなければいけません。そこで求められるのは、最低限必要なタスクと時間の余裕があれば取り組むべきタスクに分け、プライオリティをつけながらクリアしていくスキルです。
実際、インターン中にうまく進まないタスクがあったのですが、それはさほど本質的な問題ではありませんでした。ただ、時間があれば解決できる見込みがあったので、とりあえず他のデータで代用し、自分の判断で先に重要度の高いタスクに時間をつぎ込むことにした、という体験があります。これは実際に業務に当たらないと身につけられないスキルだったと感じています。
ビジネス視点で業務を進める上で大変だったことはありましたか?
柳氏:
途中で不安は払拭され、ゴールイメージを持ちながら腰を据えて取り組めたのですが、最初はインターンの期間内で与えられた課題をきちんとやり切れるか、というところが一番の懸念点でした。メンターの銀兵さんをはじめ、いろいろな方がサポートしてくださったのがとても心強かったです。
孫氏:
私もインターン期間内で検証しつつ結果をまとめ、最終発表できる形に仕上げなければいけないところにプレッシャーを感じてました。もちろん、うまくいかなかったこともあって大変ではあったのですが、柳辺さんのサポートもあって、自分で期待していた以上の結果を残すことができました。達成感が得られて楽しかったです。
メンターのお二人はサポートをする上でどんなことを心がけていたのでしょうか。
小林:
自分も学生インターンの経験がありますが、技術的に難しいポイントでスタックしてしまったせいで無為に時間を溶かしてしまい、本質的な問題にコミットできなかった、という反省があるんです。
なので、1on1ではそれを念頭に状況を確認しつつ、知識さえあれば解決できるような問題や攻略が容易なものについては積極的にヘルプに入り、一緒に取り組むようにしました。とにかく、課題の本質部分にコミットできるよう心がけました。
柳辺:
DeNAの働き方として「言われたことだけをこなす」という場面はあまりないと思います。なので課題は設定したものの、実際にどうアプローチしていくか、何をすべきか、というところはお任せし、孫さんの選択を全力でサポートする体制を取りました。
ただ、最終発表のスケジュールに間に合わせる必要があったので、まずは自主性を重んじつつ、QCD(Quality=品質、Cost=コスト、Delivery=納期)を意識しつつ、特に納期についてはよりこちらからの働きかけを増やしました。
日々の1on1では進捗を聞きつつ、必要があれば全体の方向性を見直すようにしました。ただこれは、最初からそう進めようと考えていたわけではなく、途中で孫さんに自走できる能力があるのを感じてこの判断至った、という感じです。このように、参加してくださる方に応じて、サポート方法は柔軟に変えていきます。
サマーインターンを終えて
サマーインターンを経験され、学生のお二人に率直な感想をお聞きしたいです。
孫氏:
とにかく、AIスペシャリストの方々のクオリティには驚きました。DeNAには、論文を書くための研究をやっているイメージが全然なかったので、技術レベルについては正直あまりわかっていませんでした。でも実際のところ、技術レベルも専門性もすごく高く、DeNAの強さを感じました。
また、想像以上にすごく人間味のある暖かい環境だということもよくわかりました。大学院の研究室で就活の情報を共有しているのですが、今回自分が触れたDeNA像に近い話を聞いたことはありませんでした。なので、このインターンを通して私が見たり感じたことをシェアしたところ、研究室の人たちもびっくりしていたのが印象的でした。研究室の後輩にはDeNAでのインターンを推薦しています。
柳辺:
嬉しいなあ(笑)。
柳さんはいかがですか?
柳氏:
以前はDeNAと聞いても野球やライブ配信、ゲームぐらいしか思いつかなかったので、インターン経験を通し、本当に多様な事業をやられていることを知って驚きました。
「ロジカルに技術面を詰められる」という噂を聞いたこともあり、正直不安は少しあったんです(笑)。実際はそんなことなかったです。必要なことはきちんと対話をしてくださったり、業務以外の研究への相談にも乗っていただいたり、成し遂げるゴールに向かって本質的な対話ができたという感じです。
後輩たちにDeNAのサマーインターンを勧めるとしたら、どんなメッセージを送りますか?
孫氏:
実際に体験してみないとわからない良さがたくさんありました。自分のスキルアップをしたいとか、最新のAI技術を体感したいとか、そういう気持ちを持つ人は挑戦した方がいいと思います。
サマーインターンを経験して、DeNAのイメージがより具体的になり、DeNAで働くことの解像度が上がりました。こればかりは自分で体験してみないとわからないと思うので、ぜひトライしてみて欲しいです。
柳氏:
日本でトップの専門性を持っているような方々と、さまざまなことにじっくり取り組めます!というのが後輩に一番伝えたいポイントです。
学生とトップエンジニアが分け隔てなく議論ができる機会はなかなかないと思います。また、結構自由に裁量を持たせていただけるのもよかったです。
インターンでの課題に対しても、大規模な計算資源が割り当てられています。普段の研究では取り組むのが難しいような、かなりたくさんの実験ができる環境が用意されているのは、本当に珍しい!これは大きな声でみんなに伝えたいです。
DeNAのインターンシップについて
DeNAのサマーインターンシップ詳細情報は以下からご覧ください。
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