創薬プロセスにおける新しい価値創出への挑戦

2018年1月にDeNAは、AIを使った創薬手法を製薬企業と共同研究することを発表しました。医薬品を創生するプロセスにAIを活用し、既存の手法と比較しながら、期間とコストを半減させる技術の確立を目指しています。

1つの薬が世に出るためには、様々なプロセスを経ていきますが、その中で最も研究コストがかかるのが「リード化合物の最適化」です。
Paul, S. M. et al. How to improve R&D productivity: the pharmaceutical industry's grand challenge. Nature reviews. Drug discovery 9, 203-214 (2010).

初期プロセスで試験管の中で数十万の薬の候補化合物から、病気の改善に最も効果のある化合物(リード化合物)を何種類か選び出しますが、それらが必ずしも人体で十分な有効性・安全性を示すとは限りません。
例えば有効性を上げるように構造式を改変しても、心臓毒性や癌原性に問題がでてくる場合もあるため、より有効性・安全性が高い薬になるよう最適化させていく作業が必要になります。
最適化合物を見つけ出すためには「その都度、化合物の構造式を設計、合成し、有効性や安全性を検証する」という作業を数千回もくり返します。検証する化合物を合成するのに1か月かかるケースもあるため、創薬プロセスにおいては、この段階にかかる研究コストが最も高いとされているのです。
そのプロセスをAIで代替し、効率化が実現できれば、膨大なコスト削減と製薬企業の競争力を高めることにもつながります。
病に苦しむ世界中の人々を救っている薬という存在。そういう意味において創薬プロセスの改善は、世界中の人々の健康に貢献できる可能性を秘めているといえるでしょう。

プロジェクトメンバー

藤川 和樹

KAZUKI FUJIKAWA

システム本部
AIシステム部AI研究開発第二グループ
AI研究開発エンジニア

大学院では深層学習を活用した文書の特徴抽出・経済指標予測への応用に関する研究に従事し、2014年にDeNAへ新卒で入社。
DeNAでは画像特徴を利用した商品レコメンド、オープンチャットの場を盛り上げる対話ボットの開発・運用などに従事し、現在はAI創薬プロジェクトの研究開発チームをリード。

佐野 毅

TAKESHI SANO

ヘルスケア事業本部
ビジネスディベロップメント
ディレクター

大手製薬企業にて事業開発、経営戦略等に従事。アカデミア、商社、VC、IT企業とのオープン・イノベーションの企画・実行を担い、それが縁で2015年にDeNAに入社。「ヘルスケア X IT/AI⇒Delightな新規ビジネスの創生」に汗をかいている。

望月 正弘

MASAHIRO
MOCHIZUKI

システム本部
AIシステム部AI研究開発第二グループ
AI研究開発エンジニア

分子生物学分野で博士号を取得し、前職にてバイオインフォマティクス・IT創薬分野の研究開発に従事。2017年にDeNAに入社し、AI創薬プロジェクトに参画。DDBJデータ解析チャレンジ(2016)、IT創薬コンテスト(2014-2017)等のITとバイオの境界領域のコンペにて受賞複数。